ひねくれ作家様の偏愛
小松の唇は艶々している。
最近の口紅ってこんな瑞々しいんだ。
あれ、グロスっていうやつね。

正直、化粧の何たるかも、私にはわからない。
就職活動時代からメイクに変化なしだもん。

女子力を測るスカウターがあったら、確実に彼女はスーパーサイヤ人クラスだ。

万が一私に合コン等の一大イベントが舞い込んできた場合、顔の作成法や服選びは小松に聞こう。

ま、そんな機会、無いんですけどね。
先週の同期会だって、朝したきりの化粧なんか直さず、ほぼすっぴんで行きましたわ。


私は件のメールを月刊誌編集部の班長に転送する。
この挿絵を必要としているのは月刊のゲーム雑誌の方。
単発仕事なので、私がまとめているだけ。隣の班なので、メールしたら声かければ仕事は終了。


「月刊誌編集部のデスク、カラだから、もどってきたら小松から声かけといて」


「あれ?桜庭さんおでかけですかぁ?スーツだし」
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