溺愛オフィス

【変わらないです】



恋をすることに怯えるようになったのは、いつからだったろう。


初恋は小学六年生の卒業間近で、周りの子よりは遅かった方。

なんせ、小学生の頃の男の子といったら、意地悪なことを言ったりしたりする子が多くて苦手だったのだ。

だから、私の初恋相手は読書が趣味の、とても穏やかな男の子。

幸いにも中学も同じで、私は彼にずっと片思いをしていた。

けれど、三年の春、彼に彼女が出来てしまい、失恋。

以来、しばらく新しい恋に出会うことはなかったのだけど……

高校二年の時、初恋の彼のように穏やかなクラスメイトと仲良くなり、告白されて……付き合うことになって。


とても、好きだった。


ドキドキしたけど、手を繋ぐことも出来てた。


だけど……そう、だけど、彼の家に遊びに行ったある日。


『柊奈ちゃんっ!』

『──え?』



< 117 / 323 >

この作品をシェア

pagetop