カムフラージュの恋人
私はあいつのカムフラージュの彼女
「ねぇ。ここにいるの?」
「何となく視線を感じたが・・・たぶん違う」
「そう。それより、雅彦をつけ回してる彼女さんの見当はついてる?」
「お客さんだったてことだけ。何度か店に来てくれた人で、一度コクられたんだが断ってー」
「あぁそう・・・」
「以来店には来なくなったんだが、何度かバッタリ会ってさ。“あらぁ偶然ねぇ!”と言ってたが。どーだか」

うーん。
確かにそれだけの「偶然」じゃあ、警察に行くことはできないよね・・・。

「心配すんな。ボナぺ行くのは明日が最後だし」
「・・・え。なん、で?」
「俺、今度オープンするカフェに転職するんだ」
「あ・・・・そう。そこでもパティシエなんだよね?」
「もち。それよか俺!あのアオイさんと、ついに一緒に働けるんだぜ!しかもオープニングスタッフとか。給料もアップするし。もうすっげー嬉しい!」
「あおい、さん?」

と言った私の胸が、鈍くドキンと鳴った。

< 26 / 69 >

この作品をシェア

pagetop