~SPの彼に守られて~
◆episode04
 私たちは"プランB"を実行するため、鮫島さんの指示のもと普通乗用車で街中を走り抜ける。

 車の速度は落ちることなくカーブを曲がるたびに遠心力で身体が飛んでしまいそうで、もう嫌!こんな怖い思いをするくらいなら、いっそのことレオに―……

 急ブレーキがかかる音がして、身体が前に飛び出して行きそうになるのをシートベルトを掴んで堪える。

 今度は何?ギュッと閉じていた目蓋を開くと、何処かのビルの裏側に普通乗用車が停まっていた。

「降りるぞ」
「は、はい」

 震える手で何とか急いでシートベルトを外して降りると同時に、フルフェイスのメットを被った人物が運転するオートバイが傍に停まった。

 もしかして、さっきから私たちを尾行していた人なの?!

 怖くて鷹野さんの後ろに隠れると、その人物はフルフェイスのメットを取る。

「白鳥さん?!」
「時間が無いので、此方を被って下さい」
「わわっ」

 白鳥さんはオートバイから降りて乱れた髪を手櫛で整えて眼鏡の位置を直すと、私に近づき、有無を言わせずフルフェイスのメットを被せた。

鷹野さんはというと、普通乗用車のトランクからフルフェイスのメットを取り出して被った。

「スワン、後でな」
「ええ。お気をつけて」

 白鳥さんは普通乗用車の運転席に乗り込むと走り出し、ビルの表側に出て左折をしたら、表側の右から猛スピードで走る黒塗りの車が横切った。

 もしかしてあの猛スピードを出していた黒塗りの車が、私たちのあとをつけていた車なのかな?
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