俺様常務の甘い策略
【番外編】完璧な婚約者
颯介がアメリカ出張から戻って一ヶ月後、私は颯介を連れて福井にある私の実家に帰った。正確には、颯介に連れていかれたのだけど……。

だって、「福井に行かないなら一日中ベッドにいることになるよ」って、悪魔な顔で言うのだ。

従うしかない。従わなきゃ、私の身体がもたない。

颯介が社長に就任してから凄く忙しかったから土曜の朝ぐらいゆっくり寝ていたかったのに……。

しかも、昨日の夜は颯介が求めてきて……ああ、思い出すのはやめよう。

プリンスを渡辺に預けると、私達は東京駅から東海道新幹線に乗り、京都の手前の米原駅で特急に乗り換えた。所要時間約三時間三十分。やっと福井に着いたよ。

小さい頃はおじいちゃんの家に行くって感じだったけど、実家として帰るのは今回で三回目で……。

「のどかなところだね。駅の出口が一つしかないと待ち合わせ便利だよね」

颯介は呑気にそんな感想をもらす。
< 270 / 299 >

この作品をシェア

pagetop