さぁ、オレと恋をしてみようか
「あー、ごめん。困らせるつもりはなかったんだけど…」


そう言って、優しく大きな手が頭の上にのる。


わたしだって一緒にいたい。だけど、こういう時どうしたらいいのかわかんない。


なんて言っていいかわからなくて、ただ黙っていると「芽衣子」と呼ばれ、ゆっくりと顔を上げた。


「飲み会、楽しんでおいで」
「…はい」


結局わたしは、頷くことしかできない。


千織さんは仕事があるから、帰らなきゃいけないのはわかってる。


でも、わたしもホントは〝一緒にいたい〟って思ってるんだよ。


「じゃあ、連絡するよ。芽衣子も、いつでも連絡しておいで」
「…はい」


だけどやっぱり、言えなかったんだ。


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