さぁ、オレと恋をしてみようか
ただちょっと、トクンとするくらいで、ドキドキなんかしてないし!!


ほら、思い出せ。昔好きだった、クラスメイト。


今となってはイヤな思い出だし、思い出したくもないけど、わたしは彼を見れるだけで幸せだった。


少しでも話せたら、その日がハッピーで、家で鼻歌なんか歌ったりしちゃったりして。


そうだよ、これが〝恋〟だよ。千織さんには、緊張してるだけ。


きっとわたしの思い込み、ただの勘違い。


「お母さん」
「んー?」
「やっぱ、勘違いだ」
「は?」
「だから、わたし好きじゃない!なんか、ごめんね。変なこと言って。今聞いたこと、全部忘れて!」
「ちょっと、芽衣子…。まぁ、あなたにとったら、あまりしてこなかった恋だし、今はそう思ってなさい。よし。じゃあ、ご飯作るかな」


ガタッとイスから立ち上がったお母さんは、ご飯支度を再開し、わたしは冷たくなったお茶をチビチビ飲みながら、なにも考えずにボーッとして過ごした。


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