ハッピーアワーは恋する時間
優しさに触れて
久しぶりにうなされたこともあって、亜幸さんとの「お出かけ」は止めた方がいいと思った。
これ以上、亜幸さんの優しさに触れちゃいけない、知っちゃいけないと思ったのに・・・。

昨日の夜も私に電話をかけてくれた亜幸さんの低い声は、とても嬉しそうに聞こえて、「やっぱり行かない」と言えなかった。
しかも私ときたら、ミントグリーンのお気に入りワンピを着て、淡いピンクのミュールとか履いちゃってるし!
仕事では、動きやすさを重視して、ズボンやジーンズしか着ないから、出かける時くらいは女っぽさを意識したオシャレをしたい。
それが結局、「亜幸さんとデート、じゃなくて出かける」感じに、私自ら拍車をかけてしまった気が・・・。

でも、うちの前まで迎えに来てくれた亜幸さんに「似合ってるよ」と笑顔で言われた私は、照れた以上に嬉しかった。

黄色のTシャツに、膝が隠れるくらいの丈のカーキ色のズボンを着て、黒のスポーツサンダルを履いている亜幸さんは、「今日は完全な休み」と言ってただけあって、とてもカジュアルな格好をしている。
そういえば、こういう服を着た亜幸さんを見るのは初めてだ。
カジュアルな格好をしてても、やっぱりスラッとした細身の筋肉質な亜幸さんの体型は映えていてカッコいい・・・。
と気づいた私は、嬉しさと、胸の高鳴りが増した気がした。

< 88 / 137 >

この作品をシェア

pagetop