ハッピーアワーは恋する時間
『・・・触らないで・・・!』
『・・・俺は別れたくない・・・・・・未散!みちるーっ・・・!』
「・・・ぃや・・・・・っ!」

ベッドからガバッと上体を起こした私は、まず荒い息を整えることに集中した。

・・・久しぶりに、うなされた・・・・・・亜幸さん・・・!

ガックリうなだれていた私は、無意識にサイドテーブルに手を伸ばして、スマホを取った。
そして亜幸さんのところへ電話をかけようとしていたことにハタと気づいて・・・スマホを放り投げた。

「やだ。私・・・」 

いくら許可をもらったからって、何を無意識に亜幸さんを頼ってしまってるのよ、私は!
「いつでもかけていい」と亜幸さんが言ってくれたのは、言葉のアヤ?
とにかく、これも社交辞令ってやつなのに。私ったら・・・・・・。

こんなことくらいで電話かけるとか・・迷惑この上ない!
それに亜幸さんはこんな・・・弱い私なんか、見たくないはず。

いいや。こういう部分は、亜幸さんにも、誰にも見せるべきじゃない。

私はフゥと息を吐くと、ベッドから下りた。
そして「シャワー浴びよ」と呟くと、お風呂場の方へと歩いて行った。

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