嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?
四、デート×デートは偽王子としかしません。


「ひゃーー」

カツカツとヒールの音を響かせながら、螺旋階段をくるくる回りながら上がっていく。

オシャレな階段も、忙しい時には邪魔にしかならない。

仕事だ出来る女は靴から。
塚本さんにそう言われ、――先日の泥酔事件でもお詫びを兼ねて、塚本さんに選んで貰ったハイヒール。

ピンクのチャックのベストにタイトなスカート。

可愛い制服に胸を躍らせていたのも数日だけだ。
今は、忙しく駆けまわる私には、スニーカーとジャージがお似合いだと思う。

受付嬢の、首にスカーフ、白い革手袋、ピンクのチェックのワンピースの隙のなさに比べたら負けちゃうかもだけど、制服は可愛い。


「すいません。資料を探すのに手間取っていました!」

「おせ―よ。てっきり海外に宝石買い付けに行ったかと思ったじゃねーか」
「そんなに急いでないから大丈夫だけど、階段は静かにお願いしますね」

相変わらずの二人の反応に、息を切らしながら資料を置いて行く。
紡さんが帰国してから、プロジェクトは本格的に動き出したから、私も忙しく走り回る。

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