【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「ルイ、京都に行く日、今度の金曜日から日曜日までになったから」


その出来事があって登校後、教室に先にいた燭が早々にこちらへとやって来て、ルイに告げた。


「随分急だね。その日は普通に学校もあるけれど、ボク達三人はともかくキミやリカコは平気なの?」


「ああ。美樹先生にはちゃんと話して許可を取ったし、俺やリカちやんもそれぞれ親に話したから問題無いよ」


流石と言うか何と言うか、頭の良い燭は、その計画に向けてきっちり根回し、外堀を埋めてルイに話している。こうなれば、先延ばしにする事は出来ない。


「……ごめんね」


ルイから零れたその四文字の中には、どんな想いが詰まっているのだろう。


全てを任せきりにしてしまった事、それから、知らないふりをさせてしまっている事、心配をかけさせている事。……言い出したらきっときりがない。


「謝る前に礼だろうが!このポンコツ、それくらい学べ!」


いつから登校してきたのだろう。いつの間にかルイの背後にいてボロボロの参考書でルイを叩いた里佳子は、私達の中でも一番いつも通り。


「そうだね。ありがとう」


そんな里佳子に安堵し微笑むルイに、私達も安堵する。多分、心を持っているからこそ生まれる安堵なのだろう。
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