春の公演は特に大きなトラブルも無く、おおむね成功だった。客のノリも非常に良くて、同時公演のダンス部やブラスバンドの部員達まで拍手がなかなか止まなかった。俺の初めての脚本、そして演出。評価はこれから下されるだろう。だが、とりあえずは終わった。夢中で走り続けた3ヶ月だった。

 終演後、全員で舞台装置を部室へ運び込み、打ち上げへと繰り出した。部長である笠原先輩の音頭で打ち上げは始まった。近所のお好み焼き屋の座敷を借りての打ち上げだ。

「やはり、今回の舞台での一番の功労者は、神井くんだと思う。神井くん、前へ。」
「すみません。俺、口が下手で、みなさんもっと気持ちよく演じたり作ったりしてもらいたかったんですが、いつも言葉が足りなくて。。イライラしたと思います。信じてやらせてもらえて、ありがとうございました。」
 頭を下げると拍手が聞こえた。よかったブーイングじゃなくて。
 ほっとして周りを見ると、大野多恵と目が合った。彼女は無邪気に手を振ってくれたので、俺も笑顔を返した。先輩とはその後、どうなったのか気になったが、当然ながら、聞く事はできなかった。