新入生歓迎公演も終わり、俺は初めての脚本と演出を終えた。役者達も積極的に動いてくれたし、演出で悩んだりぶつかったりする事はあったが、脚本と演出が一本だったのが良かったのか、解釈を巡るトラブルは少なく、予想よりもずっとスムーズに舞台が仕上がった。それなりに大変だったが、終わってみればあっけない程だった。

 気を良くした俺は秋の文化祭公演の脚本を書く準備を始めた。前回までは、脚本は主に部室で書いていたが、今回は集中して書けそうな日は部室ではなく図書室へ向かった。以前は部室の方がなんとなく安心でき、雑音も心地良く、静かな図書室は広いだけで退屈で心細い場所だった。しかし演出に行き詰まった時、部室の雑音に疲れて逃げ込んだ図書室は静かで落ち着ける場所だと知った。
静かな空間に慣れると、図書室のほうが執筆は捗った。