幸せの定義──君と僕の宝物──
繋がった恋と届かない想い
それから何事もなかったように1週間が過ぎた。

表面上穏やかではあるが、あれからリュウとトモの様子がどこかぎこちない。

ユウはそんな二人の様子を見て、リュウとトモがまだお互いに遠慮をして、言いたい事も言えないままでいるのだろうと思った。



その日、都内のCDショップの大型店舗でのインストアイベントが行われた。

土曜日と言う事もあってイベントは大盛況で、トモとタクミのトークも盛り上がり、CDは飛ぶように売れた。


イベントを終えたトモとタクミは、まだファンでごった返している店内から警備員にガードされながら店の外に出ようとした。

警備員がついているにも関わらず、熱狂的なファンにもみくちゃにされたトモは、よろめいて一人の少年に思いきりぶつかった。

「あっ、ごめんな。大丈夫か?」

トモにぶつかられた拍子に、その場に倒れてしまった少年を起こそうと、トモは手を差し出した。

「いってぇ…。」

その手を取って立ち上がった少年が、トモの顔を見上げた。

「あれ…?」

(なんか…昔のオレに似てる?)

トモは少年の顔をマジマジと見つめた。

「はぁ…ビックリした…。トモが倒れてくんだもん。」

「あ…ああ…。ごめんな。怪我ないか?」

「大丈夫だよ。ちょっと転んだだけだから。」

後ろから来たタクミが、二人の顔を見比べて驚いた様子で声をあげた。

「あれ?この子、若い頃のトモに似てるね。」

「うん、学校でもトモに似てるってよく言われるよ。」

嬉しそうに笑う少年の顔を、トモはまたマジマジと見つめた。

(それにしても似てる…。)


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