幸せの定義──君と僕の宝物──
「リュウの気持ちもわかるけどさ。身内なら尚更、この先まだまだ長いじゃん?ハルちゃんもまだ高1だし…今すぐ答出そうと思わずに、リュウ自身もゆっくり向き合えばいいとオレは思うよ。」

「そうか…。とりあえず…しばらくはそっとしといた方がいいのかな…。まさかハルが、ホントにあんな事するとは思ってなくてさ…。どうしていいのかわからねぇんだよ。」

ユウはいつもとは違うリュウの弱りきった顔を見て、リュウがどれほどハルを大切にしてきたかがわかるような気がした。

(リュウ…ハルちゃんの事がかわいくてしょうがないんだな…。)

「年頃の女の子は難しいな。オレも娘ができたら、心配でしょうがないんだろうなぁ。」

「オレは年頃の娘に、パパと結婚するって言われてるのと同じようなもんだ。複雑だぞ?」

「モテる男はつらいなぁ、リュウ。いろいろ悩みは尽きないな。」

ユウは笑いながら、リュウのグラスにビールを注いだ。

グラスの中で弾けるビールの泡を眺めながら、リュウは少し遠い目をした。

「オレの幸せは…どこにあるんだろうな…。」

「ゆっくり探せよ。きっと見つかるから。」

ユウとリュウは笑って軽くグラスを合わせ、ビールを飲み干した。




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