未来の1/fragment
EP:008 女王の裁き




プルルルル????


スカートのポケットからマナーモードが鳴り、携帯を取り出すとすぐさま電話に出る。



「もしもし、真弥?…うん分かった」



夏海は階段を上がり、廊下の角を曲がったと同時に、丸林が教室へ入っていった。


予定にない状況に変わっている事に気付かない夏海は、着信を切ろうと携帯を耳から離そうとした時だった。



『背後に誰かがいる…』



キーンと耳鳴りが鳴り出し、人の気配を感じた。足音や息遣いがだんだん自分のところへ近づいて来る。


夏海は恐る恐る後ろを振り向いた瞬間、目の前で大きく振りかざした鋭く尖った教師用の三角定規を持つ女子生徒が薄っすら見えた。


思わず目を瞑り、反射的に両手で身を庇った時に『ガシッ』という音が廊下に響く。


あれっ⁉︎あの定規が襲ってこない…


薄っすらと目を開けると、目の前で定規を持つ女子生徒の腕を掴んで止めている担任の西岡が立っていた。





< 185 / 403 >

この作品をシェア

pagetop