目なし女の消えない呪い
美月が肩を叩かれて振り返ると、そこには拓也が笑顔で立っていた。




「おはよう、美月。

それにしても今日は、グループLINEの話題で持ちきりだな」




美月は拓也と目が合うと、ひとりでに笑顔がこぼれ、拓也に話しかけていた。




「そうね。

本当に気味が悪い話よね。

理解できないことだらけの話だから」




「誰かのイタズラかなって思うけど、こんなに手の込んだイタズラをできるヤツっていないだろ?」




「私もそう思うわ。

だから不気味なのよ。

何も悪いことが起きなければいいけど……」




「美月は本当に心配性だな。

その目なし女とやらが、誰だかわかったら、オレがそいつをぶっ飛ばしてやるから。

美月、それでいいだろ?」




「拓也はいつも、そんなことはかり言うのね。

暴力はダメよ」




「はいはい、わかったよ。

美月は本当に優等生なんだから」




「拓也、からかわないでよ」




「わかったよ。

まじめな美人マネージャーの頼みだからな。

美月、心配するな。

お前に何かがあったら、オレが守ってやるからよ」




拓也はそう言うと、友だちの北島圭介のところに行ってしまった。




美月は、ちょっとヤンチャな拓也の背中をぼんやりと見つめていた。
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