私を本気にさせないで
「本当……可愛すぎて困るんですけど」
“本気じゃなかったなら、最初から私を本気にさせないでっ……!”


この言葉に嘘なんてなかった。

これだけ本気にさせておいて、いまさらこんなことするなんて酷いと思った。

聞いてしまったんだ、今日の昼休み、彼と同期の女の子達が嬉しそうに話している内容を。

イブの日、彼を交えてのクリスマスパーティーで絶対彼をモノにすると。
みんな口々に“抜け駆けは禁止だよ”と言いながら、意気揚々と話していた。

信じられなかった。
だってずっと私とデートしてくれるとばかり思っていたから。

そしてもっと信じられなかったのはそれを聞いて、激しく嫉妬してしまった自分自身だった。
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