私を本気にさせないで
私と大森君は付き合っているわけではないし、ましてや私は自分の気持ちをいまだに大森君に伝えられていない。
それなのに、嫉妬してしまった自分が信じられなかった。

彼女達の話は嘘であってほしい。
真実をちゃんと彼の口から知りたい。

そう思っても、激しく嫉妬してしまう自分を隠すのに必死で、彼と目を合わせないようにしていた。
それでも気になってしまい、何度も彼を見つめてしまって……。

頭の中がパンク状態だった。
どうしたらいいのか分からなくて、定時と同時に逃げるようにオフィスを後にしたんだ。

それなのにエントランスで彼に腕を掴まれてしまった。

こんなに嫉妬してしまっている自分自身に気付かれたくない。
そう思うのに、彼を目の前にしたら気持ちが溢れ出て止まらなくなってしまった。
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