オトナな部長に独占されて!?



部長デスクから目の前のパソコン画面に視線を戻そうとしたら、必然的に隣の席の立花萌の様子が目に付いた。


営業部は社内でも一二を争う忙しさで、2〜3時間の残業は日常的なこと。


それなのに立花萌は薄ピンクのバッグとふわふわした白いコートを持って、定時きっかりに上がろうとしている。



「円香先輩、お先に失礼しまーす」


「もう帰るの? 明日は珍しく外回りだって言ってなかった?
お客さんに見せる資料とプランは用意したの?」



「それは〜明日の朝、てきとーに作るから大丈夫です。

そんなことよりもっと大事な用事があるから、今日は残業できないんですよ〜」



仕事より大事な用事って何よと呆れる私を置いて、立花萌はドア……ではなく、部長デスクに向かっていた。


何をする気かと思い、つい仕事の手を休めて彼女を見てしまう。


部長の前に立った立花萌は、バッグから可愛らしくラッピングされた物体を取り出し、差し出していた。


何アレ。
手作りお菓子とか?

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