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3月も、最後の週に突入していた。

午前中の外勤が予定より早く終わり、私は11時半に社に戻ってきた。


良かった。今日のお客さんは低予算なのに注文が多くて調整するのが大変だったけど、なんとか仮契約まで持って行けた。


後は、設計部の人にもう一度料金計算してもらいたいから、午後一で相談に行ってーー。


春物のコートを脱いで自分のデスクに座ると、隣からどんよりした負のオーラが漂ってきた。


それに気づきたくなかったが、目が合ってしまったので仕方ない。


「何かあったの?」と、ハンカチで目元を拭いている立花萌に聞いてみた。



「円香先輩〜。私、下半期の営業成績でビリだったんです〜。

さっき係長に怒られちゃって、怖かったぁ。

可愛い女の子を泣かせるなんて、ひどいと思いませんか? メソメソ」



ああ、そういや立花萌は最下位だったよね。

やっぱり上に怒られたのか。それは当たり前だと思うけどね。