一夜くんとのアヤマチ。
#4:「好きになって…よかった…」
一月ほど時が流れ、そろそろ暑くなりだしてきた頃。

「では続いて、養護教員の先生から当日までの体調管理等についての説明があります」

三組担任の先生が「お願いします」と小さくお辞儀する。

「大丈夫、最初に来た時よりは少ないから…」

自分に言い聞かせ、四クラス計百六十人の前に出る。人前に出る時は、私はまだこうしないと緊張を抑えることはできないようだ。…それでも、まだ完全にとはいかないけど。

「え~、じゃあ私の方から、体調管理等についての説明をしたいと思います」

原稿とにらめっこしながら、喉と口を動かす。

もうすぐ、烏間高校の三年生は沖縄への三泊四日の修学旅行へと旅立つ。

「…修学旅行中に体調が悪くなったりした場合は、私も同行しているので、遠慮せずに声をかけて下さい」

そして私も、皆と一緒に沖縄へ行くことになった。

…ただ、それについて私には一つ、心配な点があった。

「先輩、私、本当に大丈夫でしょうか…」
「大丈夫よ。…全く、日向ちゃんは心配性なんだから…」

沖縄に行く養護教員は、私一人。いつも頼ってばかりいる鴫城先輩は、沖縄には来ないのだ。

「それに私、去年も一昨年も修学旅行にはついて行ったからね…。日向ちゃん、沖縄行くの初めてでしょ?」
「それは…そうですけど…」
「ならベストじゃないの! 楽しい所だし、そんな大仕事はないから。楽しんで行ってらっしゃい!」

と、いうわけで…。

「ここが…沖縄…」

私達烏間高校三年一行は、那覇空港に降り立ったのであった。
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