それは危険なラブミッション

④晴れ間を探して、痛む胸



「なかなかやるわね、莉夏。略奪の才能があるかも」


木漏れ日がお休みの今日。
夕菜はケーキを携えて、私のお店Anginに来ていたのだった。
夕べのことの顛末、私と岬さんがどうなったのかを聞こうとやって来たらしい。

達哉くんと麻緒ちゃんには、そのケーキで先に3時の休憩をしてもらい、交代で夕菜と二人、店の奥の狭い休憩場所に並んで座っていた。
けれど、略奪の才能なんてものは、できれば備わりたくない。
チーズケーキを口に運びつつ、夕菜に不満顔を浮かべた。


「莉夏は意識してやってるわけじゃないんだろうけどね。まぁ、タイミングがバッチリ合うというか、棚ぼたというか」

「……何よそれ」

「だって、略奪の手ほどき その5を早くも実践しちゃうんだもの」


その5、それは、妬かせるということだった。
ルイと一緒にいる場面に遭遇させることで、いとも簡単にそれができてしまったというのだ。


「その上、手ほどき その4だって、半ば成功したも同然じゃない?」

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