腹黒王子に秘密を握られました
 
「変な写真撮らないで。即刻削除しろ」

「はぁい。つまんないの」

そうやってくちびるをとがらせて、可愛いフリしたってダメだからね。とギロリと睨む。

「ちゃんとランチおごるから、あのことは黙っててよ」

もごもごと頬いっぱいにパスタを頬張りながら言うと、きょとんと首を傾げられた。

「なにとぼけてんの。一緒にランチ行くから黙ってるってことじゃないの?」

「そんな約束しましたっけ?」

「てめぇ……」

ゴゴゴゴゴォと怒りのオーラを放つ私に、柴崎くんはにこにこ笑いながらパスタを頬張る。

アニメグッズまみれの私の部屋で、柴崎くんにオタクだってことがばれたのは先週の金曜日。
それから数日私は風邪で寝込み、ようやく会社に復帰した月曜日。

朝礼で、週末はオープンハウスもあって忙しかったのに休んでしまってすいません、と頭を下げる私の腕をきゅっと掴み、無邪気な笑顔をむけてきたこいつは絶対悪魔だ。

わざわざみんなが見ている前で『風邪の看病をしてあげたかわりに、今日はランチおごってくださーい』なんて言いやがって。

おかげで課長はじめ先輩たちに余計な詮索をされるし、金子には冷たい目で見られるし。

金子のあの冷めた目が忘れられない。
きっとあきれられているんだろうな。

金、土、日と三日間も休んだのに、金子からはなんの連絡もなかった。
別に電話が欲しかったわけじゃないし、顔がみたかったわけじゃないし、さみしかったわけじゃないけど、でもでも。
一応恋人のフリをしてるんだから、少しくらい心配してくれたっていいのに。


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