エリート上司と秘密の恋人契約
期限は永遠に
やっぱりオフィス内で和真の姿を見かけることはない。今までもそうだったし、これからも変わらない。


「星川さん、社長のスケジュールはどうなっているかな?」


「これから確認してきます」


部長から声を掛けられて、立ち上がった。

ビジネス雑誌の取材を受けることの多い社長は来月、家庭用ロボットのことで他のメーカーの社長との対談を予定している。

今回話を進めているのは広報部長だが、スケジュール調整は私に任されていた。これから社長室に行かなければならないけど、気分は重い。

確認する相手は社長ではなくて、社長秘書のサラだからだ。関係のないことを言われないといいけど。

サラは年下だけど、存在感と威圧感があるから、ついこちらが下手に出てしまいがちになる。

社長秘書とはいえ、私のほうが先輩だから堂々としてよう。気を引きしめて、社長室をノックする。


「はーい。どうぞ」


ドアを開けるとサラの他に男性社員が一人いた。見たことのある顔で営業部の主任だと分かった。

なぜこの人が社長室に?
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