イケメン御曹司に独占されてます
おととい、酔いを覚ますために公園に立ち寄ったあと、池永さんに家まで送ってもらった。
少し甘い気分でおやすみなさいを言って、均整のとれたスーツの背中を見送っていると、ふと立ち止まった池永さんが、「あ、そうだ」と思い出したように言った。


「あさっての日曜日、祖母が開く内々のパーティがあるんだけど、それに福田も招待してくれって言われてる。もし遠慮して出席を渋るようなら、会長命令だって言えって」


そう言われては、断ることなんてできるはずもない。
突然言い渡されたミッションに、ほろ酔いだった頭が急に冴えた。


「えっ……。あの、私なんかが行っても大丈夫なんでしょうか!?」


「祖母の親しい友人を呼ぶ簡単なお茶会程度のものらしいから、そんなに気の張る集まりじゃない。先週、お前に不愉快な思いをさせた詫びだと言っていたから、気軽に来てくれたらいい」


「でも……。私、着ていく服とか……」


「この前みたいに堅苦しい集まりじゃない。趣味や習い事の友人や、ごく親しい人たちばかりだから平服でいい」

 
「はぁ……」


「祖母の習っている手芸や料理の先生とか、あとはボランティアで知り合った大学生とか。年齢の近いお前が来てくれれば助かるとも言っていたな……。来てもらえる?」


「はい。そういうことなら」
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