強引なカレの甘い束縛
春陽恋情



いつの間に眠ってしまったのだろうか、目が覚めたとき、私は陽太に抱きしめられながら自分のベッドで寝ていた。

初夏を迎えた朝は、明けるのも早く、カーテンの隙間からは朝陽が何筋もの光となって部屋に注いでいた。

見慣れている視界なのに陽太に拘束されているせいか、自分の部屋じゃないように見える。

どうにか頭を動かして陽太の顔を見れば、これもまた普段とは違う、柔らかな寝顔があった。

そう見えるのは、いつかは陽太に言わなければと思いながらも、嫌われるのが怖くて言えずにいた姉さんのことを、話すことができたからかもしれない。

私のために心も時間も費やしてくれる姉さんを拒み逃げ出して、そしてけがをさせてしまった過去を話したことで、心に居座っていた重荷をおろすことができた安堵感。

それは思っていたよりも私の心を解放し、陽太への恋心を改めて思い知らされた。

「嫌いにならないでね……」

身勝手な自分の過去を知っても、こうして抱きしめてくれることに感謝しながら、陽太の胸に体をさらに寄せた。

気のせいか陽太の腕に力がこもり、いっそう強い力で抱きしめられたような気がしたけれど、居心地のいい陽太の腕の中で瞳を閉じれば、中途半端に目覚めていた体は再び眠りの淵へと誘われる。

もうしばらく、私が一番ほしい言葉と温かさを与えてくれるこの場所に、身を寄せていたい。

陽太の鼓動を聞きながら、私の意識は再び眠りの中に、沈んだ。




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