強引なカレの甘い束縛
そして、春(の)陽(太の)恋情

ようやく俺のモノ



(陽太サイド)

もともと整っている顔立ちに加え、周囲からの注目を浴びて輝いている今日の七瀬は、誰にも見せたくないほど綺麗だ。

結婚式の日取りが決まって以来、穂香さんからのプレゼントだというエステに通い、顔だけでなくデコルテや背中、腕。

ドレスから露出している部分の手入れは完璧だ。

完璧すぎるその肌に、愛し合った印をつけることを躊躇し、ここ最近は抱くときにも気を遣った。

その気遣いは思いの外俺の欲を高めたのか……七瀬の声も震えも体のすべて、触れずにはいられなかった。

エステの心地よさを知った七瀬は、次は出産後の体のメンテのときに行こうかなと口にするほど気に入ったようで、その効果に満足しているようだ。

一週間ほど前に入籍を済ませたからか、早く赤ちゃんがほしいと恥ずかしそうにつぶやいた七瀬がどれほど可愛かったかなんて、言葉にはできない。

今でも目を閉じれば頬を赤くした七瀬の照れた顔が……はっきりと浮かんでくる。

そして、彼女が今身にまとっているシンプルなウェディングドレスは、音羽家の結婚式で衣装すべてを引き受ける有名デザイナーが手掛けたもので、シルクの光沢と、豊かな裾にほどこされた細かな刺繍が目をひく大人っぽいデザインのもの。

華奢な体になじんで艶やかだ。

「大丈夫か? 新婦は準備で朝が早かっただろ?」

俺の隣に並び、椅子に腰かけている七瀬に声をかけた。

神前での挙式をつつがなく終え、親族写真の撮影も無事に完了。

七瀬の親族として音羽家の面々が並べば、テレビや雑誌で顔と名前を知っている音羽家総帥ともいえる会長様や、数ある系列会社の社長たちから放たれるオーラに圧倒された。

それなりに収入があるとはいえ一般市民である我が一族は、音羽家の皆さんへの興味と緊張感を隠せないまま写真に納まったはずだ。

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