甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

相談したくて




店の前で中村と待ち合わせをした。
「課長はこないよ」と報告をすると「そうすか」としゅんとした。

テーブル席に座り、ビールで乾杯すると
「今日、加賀っちの顔、見れなかったっす」
「そっかぁ。仲いい二人が話さなくなるのも、なんかおかしいって周りから思われそうではあるね」
「そうっすよねー。ああ、もう本当になんだったんだろう」と頬杖をついた。

「中村はさ、加賀くんに思われてるとか自覚はないの?」
「ないっす。だってあの人、美人なナースと合コンしまくってるじゃないすか。それがどうしてガタイのいい私を好きになるっていう。タイプが違うにもほどがあるっす」

「うーん。でもまあ、理屈じゃないんだろうね、好きになるってことは」と、実感を込めて呟いた。
少し前の私からしたら、課長と付き合うなんてありえない現実だ。
はぁと中村はまた溜め息を吐いた。
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