太陽を追いかけて



翔平とりんの姿をちょっと想像するだけで、ほら。


こんなにも簡単に涙が溢れてきてしまう。


私にとって、翔平は太陽だった。


おばあちゃんが言ってたように、私の心を照らしてくれる、そんな太陽のような存在だった。


……だけど。


枕にポツポツと染み込まれていく涙を見ながら、思うことはただひとつだけ。



“やけん愛莉も、いつかは誰かの太陽になりなさい”



……私は、翔平の太陽にはなれなかったということ。


翔平にとっての太陽は、りん。


そしてまた私にとっての太陽も、翔平じゃなかった。


だって翔平が太陽となるべき人は、私でも他の誰でもなく、彼女であるりんなんだから。


変えることのできないその事実だけが、私の胸の中にはいつまでもいつまでも残っていた。


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