太陽を追いかけて
ごめんね、おばあちゃん。
私、おばあちゃんの言ってたこと、守れなかった。
この人だって思う人の手を、大好きな人の手を。
……翔平の、手を。
握れなかったよ……。
今でもね、翔平とりんがふたりで楽しそうに一緒に話してるところとか笑いあってるところを見ると思うの。
りんなんて、だいっきらいだって。
いなくなっちゃえばいいのにって。
出会った頃は可愛いって思ってたあのふわふわの笑顔も、今となっては目障り以外のなにものでもない。
……でもね。
翔平が、
“りんって本当、可愛いよな。あいつ、手つないだらめちゃくちゃ顔真っ赤にして照れてんの”
って、空を見上げながら嬉しそうにのろけるたびに。
りんが、
“翔平くん、すっごくかっこいいんだよ。毎日ドキドキが止まらないんだあ……”
って、私の好きな人を奪ったくせに、それを謝りもせず普通に話しかけてくるたびに。
心の中が真っ黒になって、でもその真っ黒な部分を言葉にする勇気もなくて、誰かに相談する勇気もなくて。
いつもなにも思ってないかのように笑い過ごしちゃう、そんな自分に、一番イライラしてるんだよ……。