咲きカタを知らない花タチ
prologue




ん…ふぁ~…
まだ重たい瞼をゆっくり持ち上げながら
寝返りをうつ。
視線の先に眠るのは
昔を良く知る仲間のケイジ。

昨日夜中まで飲み明かし
この流れに
驚きもなんの違和感もない。
むしろ、安心感で満たされている。

これから戻る日常生活の現実世界が
絶望感でいっぱいの心に
自然とエネルギーが注がれる。

恋人でも
セフレでも
旦那でもない

ワタシたちは
男女の友情が成り立っている。



ついこの前30歳になり。
『みそじ~!』
なんて祝ってもらったワタシはくるみ。
変わった名前って
恥ずかしながらもちょっとトクしてる気分になる。

ケイジはワタシをくーとよぶ。
『竹下』という苗字から
ケイジの知らない間に
『幸村』になってしまって
ケイジは昔みたいに
『たけ』って呼べなかったのか
再会してしばらくは『くるみチャン』と
少しくすぐったい呼び方をしていた。
< 1 / 4 >

この作品をシェア

pagetop