我那覇くんの恋と青春物語~桜沢紗希編~
会えない距離
さくらさんに会える。



そのことで頭が一杯で、学校での会話などは一切入ってこなかった。

実際に会うのは修学旅行のとき以来で、一年四ヶ月振り。

この期間で彼女は変わっただろうか、それとも変わっていないのだろうか。

様々な姿を想像しては一人小さく笑い、学校では完全に変人と思われていたかもしれない。

それでも、会えることへの喜びは尽きることはなかった。



学校が終わり、いの一番に教室を飛び出す。

ロッカーで靴を履き替え、駅へと走って向かった。



少しでも早く会いたい。



彼女は早めに着いて、駅の近くにあるファーストフード店で待っていると言った。

きっと、もう着いているはずだ。



少しでも・・・

ほんの少しでも早く会いたい。



店の前に着き、中を見渡す。


「随分早かったね」


その声に振り返ると、そこにはあのときと変わらない彼女が立っていた。
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