2人きりのティータイムは、苦くて甘い。
そして……



「……いや、頑張りすぎるおまえをオレが止めるべきだったんだよな」

「……課長」


気のせい?


耳から伝わる課長の鼓動が……心なしか速いのは。


課長は私を抱きしめながら、ボソッと呟いた。


「……おまえとのティータイム……いつの間にか楽しみになってた」

「……はい」


私もです、と口にしようとしたけど。少し図々しいかなとすぐに口をつぐむ。


「まえはただぐずぐず泣くだけだったおまえが、頑張って成長するのを見るのは気持ちよかった」

「はい」


そして、茶堂課長はサラリととんでもないことを言う。


「……古来、茶は薬として輸入された」

「薬……ですか」

「ああ、だがな」

課長は私の顎に指を当てて顔をグイッと上げさせる。予想外の出来事に顔に熱が集まるころ、彼は更なる爆弾を落とした。


「美雪(みゆき)……オレはおまえのせいで、医者でも薬でも治せない病にかかった。一生かかって償ってもらおうか」



声は怒っているのに、その表情は甘くて蕩けそうなミルクティーみたいで……。


私は小さな声で返事をすると、彼のあたたかくて柔らかくやさしいものを受けとめる。


彼は、深くて温かなお茶のような人でした。



擬人化お題【お茶】

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