強引同期が甘く豹変しました
すると吹き出すように笑った杉崎が箸と器を手に言った。
「亮太もついに動きだすっつーわけか」
ついに…動きだす?どういう意味?
「うっせー。俺はまだ鍋食っとくのかって今聞いてんの」
「食う食う。な?紀子」
「えっ、あぁ、うん」
呼び出しておいて先に帰るなんて失礼きわまりない。
でも、矢沢はそんなこと気にせずにさっさと上着を着て。
「とりあえず多めに金は払っとくから。ゆっくり食べてって」
そう言うと、先にテーブルから離れて行く。
「ちょっ、待ってよ矢沢」
私も慌てて上着を着ると、紀子が言った。
「なんかすごい展開だけど、楽しそう」
「ちょっとー、こっちは必死なんだけど」
「あははっ、だね。あ、スーツケースどうする?後で杉崎に矢沢んとこ持っていかせよっか?」
「俺かよ」
「そうしてくれたら助かる!杉崎ありがとう、よろしく」
「って、俺いくことになってるし」
「とりあえず行きな?矢沢行っちゃったし」
紀子にそう言われ、私は二人にごめんと手を合わせると慌ててその後を追った。