ウサギとカメの物語 番外編

*ひしひし感じるプレッシャー*



俺が奈々との結婚に踏み出せない理由。


それは━━━━━


貯金、だ。









なんだ、それ。
と、思う人の方が多いかもしれない。


だけど俺にとってはかなりの大問題。
なにしろ学生時代からの唯一の趣味は、車の改造。
これには恐ろしく金がかかるのだ。
社会人4年目で買った白い車。
特別なオーディオやらタイヤのホイルやらエンジンやら。改造を施した結果、純正で車を1台買う金額とそう変わらない改造費がかかった。


車のローン返済に加えて、改造費のカードの分割払い。で、一人暮らしなので家賃、光熱費、生活費、諸々。
余った金は、外食や飲み代、服やら小物やら、そして細かな車の改造費にあてられる。
ハッキリ言って、貯金なんてしていなかった。


奈々と付き合い始めて、貯金がないことが大問題だと気づいたのはすぐのこと。


そう。俺は、すぐにでも奈々と結婚したいと思っていたのだ。


こんなに好きならさっさと結婚したい。
彼女がやたらとモテるのは充分知っているし、それならば姓を変えて身も心も、ついでに苗字も全部もらってしまいたい。


独占欲や嫉妬心もそれなりに持ち合わせているので、結婚話を彼女にしてみるかと思い立った。


そこで、たまたま呼ばれていた結婚式で再会した友達にその話をしたら、


「すげぇな、順。もう結婚決めてんのかよ。よっぽどいい女なんだな。え、てことは結婚式すんのか?俺もう今年5回も呼ばれてご祝儀貧乏だからさ、再来年くらいで頼むわ〜」


と、冗談ぽく言われた。


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