彼女のことは俺が守る【完全版】
 私はそんなに早起きな方ではない。でも、人というのは大事だと思うことがあれば起きれるものなのかもしれない。私は目覚まし時計をセットしてもないのに四時半に目を覚ましたのだった。


 寝る前に思ったのは『朝、海斗さんを見送れたらいいな』ってことだけで、実際に自分が四時半に起きることが出来るという保証はなかった。でも、私は今、ベッドから身体を起こしている。


 シャワーを浴びて安心したのか私はベッドに入るとすぐに記憶が曖昧になり、目を覚ましたのは四時半だったというだけのこと。それでも起きることが出来て良かった。これで海斗さんを見送ることは出来る。


 着替えを済ませてから、リビングに行くと、まだ真っ暗で海斗さんは起きてないようだった。私はリビングのカーテンを開けると外はまだ群青色で朝の光を見ることは出来ない。四時半となるとこの時期はまだまだ朝は遠い。でも、そんな中、海斗さんは仕事に行くのだから、普通の会社員と違って大変だなって思う。


「まだ真っ暗」


 そんな言葉を呟きながら、朝ご飯になるものを用意できればと思ったけど、今の私に出来るのはコーヒーメーカーにセットをするくらいしかなかった。


 コポコポと音を立てながらもリビングにコーヒーの香りが満ちてくる。私はそんな音を聞き香りを楽しみながらゆっくりと時間を過ごす。何を考えているわけでもないけど、心は満ち足りていて、『安心』というのがこんなにも心地いいと私は知らなかった。こういう風に人を待つのは嫌いじゃない。
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