居場所をください。

一高文化祭




「よし、行ってきます!」


「あ、美鈴!

今日夕飯いらないんだよな?」


「はは、いらないけど。

それ普通私が聞くセリフだよね。」


貴也が聞くことじゃないよ。

しかも今日仕事でしょう?あなたは。


「あ、そうだな。

俺もちょっと長曽我部さんと

仕事の話があるから

夕飯はいらないから。」


「うん、わかった。

じゃあお迎え来てるから私行くね?」


「気を付けてな。」


「うん。貴也も仕事頑張ってね。

じゃあ行ってきます!」


今日は年に一度の一高文化祭。

今年は完全プライベートでお邪魔する。


颯太に誘われ、颯太に迎えに来てもらって

一緒にタクシーで一高まで。


貴也も一緒に行けたらよかったのにな。


「お早うございます。」


「あ、仲村さん!お早うございます!

行ってきまーす!」


今日は一段と寒い。

なのにこの風が入る

エントランス目の前にいる

コンシェルジュさんたちは

なんの防寒もなく今日も頑張っていた。


…私なんて、スキニーにショートブーツに

買ったばかりのニットに、

トレンチコートコートまで着てるのに。


「あ、美鈴ちゃん!おはよ!」


外へ出ると、タクシーによりかかった

颯太が立っていた。


「おはよ、颯太。

他のみんなは今日来るの?」


「んーとねー

藍子は来れないんだけど

岳と亜樹は来るよ!

悠斗は華とデートだから来れないって。」


「ふーん、そうなんだ。

わざわざお迎えありがとね?」


「全然いいよ!

また誘拐されたら困るし!行こ!」


そういえば私、

あれから一人で出歩くことなくなったなぁ。

みんな気つかってくれてるんだな…



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