すべてが思い出になる前に
7) 空白の時間






休憩中に職員用のカフェでコーヒーを飲んでいた友理奈は、涼太に貰った名刺を見て起こった出来事を思い出していた。



『いつでもいいから連絡して…』



もう8年も会っていなかった幼馴染の背中が、以前よりも大きくなっていた。


ぼーっとしていた友理奈の背後に、同じ制服を着たスタッフが声をかけてきた。



「何か悩み事ですか?それともクレームでも受けたんですか?」


「ううん、そうじゃないよ‼︎」



隣に座って明るく振る舞うのは、自称:愛嬌だけが取り柄。大学・グランドスタッフの後輩、元倉歩実(もとくら あゆみ)。


持っていた名刺を咄嗟にポケットにしまう所を元倉は見逃さなかった。





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