空に願いを…
知らなかった真実
みっちゃんは
香澄さんに手を差し出し
香澄さんはみっちゃんの手を取った
ちょっと遠回りしたけど
二人なら大丈夫だ
「次の休みの日、あっちに頭を下げに行ってくるわ」
みっちゃんの目は燃えていた
うん、その意気だ
『がんばれ、みっちゃん』
良かった。
みっちゃんが幸せになれるように…
仕事から帰ってきて
ちょっとの時間の荷造り
少しずつ片付いていく
寂しさもあるが、仕方が無い
そして、引っ越しまで1週間が切った
残った自分の物は
今使っているものばかりだから
当日に詰め込めばいい
問題は…空のクローゼットタンスだけ
衣類は前に捨てた
目にしたものも…捨ててきた
けど空専用タンスだけは
手をつけられなかった
だって、開けることがなかったから
開けたら…全てが空のもの
それに耐えられると思えなかった