モテ系同期と偽装恋愛!?

またある日の会社帰りには、私の家でオイルマッサージ。

あれは不思議な感覚だった。

ノースリーブのシャツに着替えて露出した私の腕を、指先から肩まで彼がマッサージしてくれて……気持ちいいのに苦しくて、強い緊張状態の中に快感と、ふとリラックスしてしまいそうな瞬間もあり……。

オイルマッサージは、触られることへの恐怖心をかなり和らげてくれたように思う。

私のために考え、それを施してくれた遼介くんには心の底から感謝している。

でも……腕以外の場所のマッサージを提案されても頷けず、頑張ろうと言ってくれる彼と、そんなことをされたら死んでしまうと主張する私の間で、この前言い争いをしてしまった……。

そんなふうに時々無茶なことを言い出す彼の厳しい特訓を受けた結果、こうして壁ドンされても数分は持ちこたえられるまでに進歩したのだ。

あと30秒と言われてから、その3倍ほどの時間が過ぎ、やっと私を囲う腕が外された。

長距離走をした後のような荒い呼吸を繰り返す私を、遼介くんは涼しい顔して眺めている。

額に浮かんだ玉汗をタオルハンカチで押さえて拭いて、それから深呼吸してやっと呼吸を落ち着かせたら、遼介くんは腕時計をチラリと見てからニッコリ笑って言った。

「じゃあ次は、俺に抱きしめられてみようか」

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