モテ系同期と偽装恋愛!?

誤魔化したくて言ってしまった『嫌い』という言葉に、ハッとさせられた。

横山くんはなにも悪くないのに、なんて酷いことを……。

ユウたちに嫌われてしまった中学のあの時、私は悪くないのにどうして嫌われなければならないのかと、悲しくて泣いた。

嫌われることは、とても傷つくと知っているのに、横山くんに同じ言葉を投げてしまった……。

「ごめんなさい……」とすぐに謝ってはみたものの、嫌いじゃないと言い直すことができない。

それは、観覧車の中で震えて泣き出した理由も、近づかれることを拒む理由も、説明できなくなってしまうからだ。

フォローもできず、ただ傷つけてしまった彼の気持ちを心配するしかできない私。

そんな私の前で横山くんがニッコリと微笑むから驚いてしまった。

「そっか〜、俺のことが泣くほど嫌いか。
仕方ないよな。これまで好かれるような態度取ってこなかったし、自業自得」

「あ、あの……」

「ごめんな。今日はかなり無理して付き合ってくれてたんだな。ありがとう。帰ろっか」


傷ついてはいない……?
笑顔を見せてくれる彼に、一瞬そんな期待を抱いてしまったが、すぐに違うと気づく。

目が悲しそう……。

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