恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
変わりはじめる


ぐるるるるる……。

そんな色気の欠片もない音で目を覚ました。

ああ、お腹空いたなあ、って……。


「はう!」


何度かまばたきして目を開けると、目の前には日下部長のメガネを取った顔が。


「……おはよう」


ちょうど同じタイミングで部長も目を覚まし、とろんとした瞳でこちらを見つめた。

メガネがないせいか、右目下のほくろがはっきり見える。

仕事中の厳しさを全く感じさせない無防備な表情にどきりとした。


「もう逃げるなよ」


指に圧力を感じてそちらを見ると、なんと日下部長に手を繋がれていた。

そんなことだけで、胸がきゅんと鳴る。

昨夜はあのまま車に乗り、ついたのはなんと日下部長の自宅マンション。

クタクタだったにも関わらず、寝室になだれ込むようにした私たち。

そのまま服を脱がされ……気づいたらこの状態に。


「夢じゃなかった……」


日下部長の甘い視線に溶かされ、ふわんと意識が宙に浮く。


「こら寝るなちょんまげ。今日は水曜だぞ」


ふっと手を離され、前髪を優しくつかまれて目を覚ました。

はうん。そうでした。今日は思い切り平日。容赦なく仕事の日でした。


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