カタブツ上司に愛された結果報告書
報告書④『初デートで胸キュンさせられた件について』
「……美海ちゃん? さっきからスマホばかり気にしているようだけど、もしかして大事な連絡待ち?」

「えっ! いえ、その……」


真由子さんに指摘された途端に口籠ってしまい、咄嗟にスマホを膝の上に隠してしまう。

それを見て彼女は、ますます疑いめいた目で私を見据えた。


「ちょっとちょっとー。先輩が振られて傷心中だというのに、美海ちゃんってば彼氏でもできちゃったわけ?」

「そっ、そんな彼氏なんているわけないじゃないですか! 親です!! ちょっと連絡待ちなんです」


必死に誤魔化すも、真由子さんはいまだに疑った目で「ふ~ん」なんて言いながら、私を見つめている。


「もー! 本当ですから! それより真由子さん!! お願いですから今日は無茶して飲まないで下さいね!?」

「分かってます」


なんて言うけれど、本当に真由子さんってば分かっているのだろうか。
見ていると、ピッチが早い気がするんですけど。


金曜日の夜、仕事帰りに真由子さんとフラッと立ち寄ったのは、会社近くの居酒屋。

少しだけ飲んでいこうか、というときは大抵訪れている場所だ。
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