カタブツ上司に愛された結果報告書
私に言われたからか、チビチビと残りのビールを飲み出した姿を横目で見つつも、気になってしまうのは膝の上にあるスマホ。


真由子さんの言う通り、大事な連絡待ちだった。
もちろん誰にも内緒の彼氏である、田中さんからの――。



田中さんから連絡先と注意事項をもらったあの日から、三日が過ぎた。


書かれていた内容にポカンとしてしまったけれど、よくよく考えれば実に田中さんらしいものだと思った。


仕事第一な人だってことは、嫌になるくらい理解しているつもりだし、仕事に私情を挟むのを嫌う人だろうし。

なにより代表が一番っていうのにも、頷けてしまう。


そこは恋人としてどうよ? 普通は付き合っているんだから、彼女を一番に優先させるものじゃないの? って思われてしまいそうだけれど、私はそれでもいいと思えてしまうんだよね。


それが田中さんだし、私はそんな田中さんだからこそ好きになったと思っているから。


第一いい歳の男が、仕事より彼女を優先するのもどうかと思う。

ましてや田中さんは責任ある仕事をしているんだもの。
そこは我慢できる。いや、しなくちゃいけないと思うもの。

そうは思いつつも、やっぱり電話やメールはしたいと思うのが女心というもの。
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