熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
早速、航平くんにケータイメールで知らせる。


『特ダネだよ! な、な、なんとこのあたしが、舞台デビューすることになったよ!! だからゼッタイ見に来てね♪』


するといつもはなかなかこない返事が今日はすぐにきた。彼の自宅にケータイメールをすると、ほとんど圏外状態で2時間遅れでしか届かないけど、今は学校でメールをしたからすぐに返事がきた、ってワケだ。


『おめでとー! ゼッタイ見に行くよ! …つーか、どっちみち新聞部の取材で演劇部の舞台は見に行くし。ところでナンの役?』


そういえば、ナンの役か聞いていなかった。


「おい、安座間。その袋の中に、お前の衣装が入ってるから、そろそろ着替えて準備しとけよ」

そう言って、あたしに紙袋を渡す演劇部長。

「あの、部長。あたし、セリフ覚えなくていいんですか? あとメイクとか、舞台の立ち位置とかは…?」

「あぁ。心配しなくても、お前にはセリフなんかないし、ノーメイクでオッケーだ。立ち位置は、前を歩いてるヤツに、そのままついていけばいいだけだから」

「え…?」


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