アメトムチ。
ロマントガマン
「うそっ!」
「ウッソー」
「んぬぬ・・・!」

ちょっとこの人ってば、一体何考えてんのっ!?

ムムッとした私の顔の近くに、ニンマリ顔をした野々瀬局長の顔が近寄った。
そして彼は、「あんたが同じ会社の人間だって知らなかったんだぞ」と、私に囁いた。

「あ・・・」

やっぱり。
私が「イ・ソノン」に勤めてるって、野々瀬局長は知らなかったんだ・・。

そのとき、「原さんって、ののと知り合いだったのか」と上嶋部長に問われて、私はハッと我に返った。

「えっ!?」
「うーん、知り合いっていうか・・すれ違ったんだ。雪まつりで」
「そういえば原ちゃん、雪まつりに行ったんだよね」
「ぅん」
「だからさ、彼女の名前、まだ知らないんだ」
「いっ!?」

あぁ、野々瀬局長がうまくごまかしてくれて良かったと思ったのに。
彼に対して感謝の念までわいてきたのに。
もしかしたらこの人って、実はすごく善良な人なんだとまで思ってしまったのに!

隣にいる野々瀬局長を責めるような目線で見ると、ニンマリした顔を返されてしまった。
しかも、メガネの奥にある彼の目が、悪戯に光ってるように見えるのは私だけ!?
やっぱりこの人、Sな悪魔の化身じゃないの!?

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