アメトムチ。
「名前。原、何て言うの」
「・・・」
「何なら調べてつき止めてもいいんだけどなぁ」
「そんなっ・・・!」
「キミの口から直接聞いた方がロマンチックだろ?」
「・・・え」

まさかこの人の口から「ロマンチック」という言葉が出てくるなんて想像してなかった・・・。
彼の不意打ちな言葉の攻撃に、私の胸が不覚にもドキッと高鳴る。
顔だってボッと火照ってるような気がするし。

なんで言った本人は、涼しい顔してるわけ?
しかも野々瀬局長は、またニッコリと微笑むと「じゃあもう一回改めて」と言った。

「俺は野々瀬清正。キミは、原・・・」
「・・・ちさこ、です」

・・・やだ。なぜかこの人から視線を外せない。
それともこの人の視線に絡め取られちゃった?

とにかく、男の人に見つめられたのも、男の人を見てこんなにドキドキ感じたのも、こんな風な感覚も全部、生まれて初めての体験だ。

これって・・・何?

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