腹黒エリートが甘くてズルいんです
*おまけ*中3.夏からその先*
「仲田さん、ずっと前から好きでした。良かったら、俺と、付き合ってください」


不意に聞こえてきた台詞に思わず足を止める。


急に辺りのセミの声が大きくなった気がした。


仲田って、仲田だよな。あいつに告白するなんて、物好きなやつもいるもんだな。て言うか、体育館裏に今時呼び出すってなんだよ、それ。漫画かよ。

どうせ、ダッセーやつなんだろ。


思わず身を潜め、耳を澄ます。
付き合うことになったら、仲田に塾で会った時に言ってやろう。
ベタなところでいちゃついてんじゃねーよって。

……なんだよ、このさっきからダクダクダクダクうるさい音は。

あ。俺の心臓か、この音。
そうか、ドキドキしてるのか。


「……ごめんなさい。あたし、好きな人がいるので」


は?
今、なんて?

世界が無音になる。
あんなにうるさかったセミの声も、グラウンドの部活の声も聞こえない。
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