リアルな恋は落ち着かない
8.
それから二日後の日曜日。まもなく正午になる時刻。

場所は、関内駅にもほど近い、とあるファミリーレストラン。

その重たいガラスのドアを開けると、笑顔のウエイトレスがすぐに私を迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。おひとりさまですか?」

「あ、いえ、待ち合わせで・・・」

返事をしながら、何気なく店の中を見渡した。

すると、「ゆりりーん!!」と呼ぶももさんの声がして、その方向に目を向けた。

「こっちだぞー!」

「あ、う、うん」

大きな声に注目の的。

恥ずかしながらも、手を振っているももさんに私も小さく振り返す。

そのやりとりを見ていたウエイトレスは、私を見ながらにっこり笑った。

「あちらのお客様とご一緒ですね。どうぞ」

「はい・・・」

頷いて、周りの視線を避けるように、さささと場所を移動する。

窓際にある、4人掛けのボックス席。

五十嵐くんと宇佐美くんも、すでに席に着いていた。

「ごめんね、お待たせしました」

「いえー、全然」

「そうそう。私たちもさっき着いたばかりなんだ。はい、ここどうぞ」

促され、ももさんの隣に座った。

私の前には、約二日ぶりに会う五十嵐くんが座ってる。

目が合うと、彼は軽く笑いかけてくれたけど、私はたまらないほどドキドキとして、うつむきがちに会釈した。

「・・・む。なんだその挨拶は。他人行儀な」

ももさんに怒られる。

宇佐美くんも「だね」と同意。

「付き合い始めたんだろう。もっとラブっといったらどうだ」

「ラ、ラブっとって・・・い、いいの、普通で」

反抗的な態度で答え、何気なく五十嵐くんに目を向けた。

彼は少し苦笑したけど、それでも瞳は優しかった。

「・・・」
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